らくらくラテン語入門
第13回 挨拶(2)
SALVETE! UT VALETIS? Justusです。
最近文法が多かったので、今日は会話をやりましょう。
以前、salve、salveteという挨拶をやりました。これと似た表現です:
- bonum diem (おはようございます、こんにちは)
- bonum vesperum (こんばんは)
- bonam noctem (おやすみなさい)
イタリア語の:
- buongiorno (おはようございます、こんにちは)
- buonasera (こんばんは)
- buonanotte (おやすみなさい)
や、フランス語の:
- bonjour (おはようございます、こんにちは)
- bonsoir (こんばんは)
- bonne nuit (おやすみなさい)
と同じようなものだと思っていただければいいです。いずれも、「おはよう」と「こんにちは」が兼用ですよね。
ところで、このメルマガでは、ここ何回か、形容詞の格変化をやってきましたね。この挨拶は、どの格か分かりますか?
- bonum diem
- bonum vesperum
- bonam noctem
以前のレッスンを見返して、ちょっと考えてみてください。
ヒント:三つとも同じ格です。
・・・
・・・
どうですか? 分かりましたか?
そうです、対格です!
名詞の方の格変化は、まだやっていないパターンの格変化ですが、形容詞bonus, bona, bonumのほうで判断できますね。もっとも-umは男性対格・中性主格・中性対格の三つの可能性がありますが、-amという形は、女性対格だと特定できます。三つとも同じ格だとヒントを出しておきましたので、すべて対格だということになりますね。
名詞のほうも、-mで終わっているので、「対格かなあ」と思った方も多いと思います。名詞と形容詞は格を一致させるのでしたね。
主格は:
- bonus dies (良い日中):男性
- bonus vesper (良い夕方):男性
- bona nox (良い夜):女性
となります。
でも、なぜ対格なのか?
対格とは、「~を」という動作の対象を示す格でしたね。なぜ、「良い日中/夕方/夜を」というのでしょうか?
実は、ドイツ語でも対格を使います(不思議なことに、性も一致しています):
- guten Morgen (おはようございます)
- guten Tag (こんにちは)
- guten Abend (こんばんは)
- gute Nacht (おやすみなさい)
これは、その前に、
「ich wünsche Ihnen/dir/euch」(私はあなた(方)に~を希望します)、ないし、
「wir wünschen Ihnen/dir/euch」(私たちはあなた(がた)に~を希望します)
が省略されているために、対格になっているのです。
例えば、
ich wünsche Ihnen (einen) guten Abend
だったら、「よい夕方をお過ごしください」ということですね。
実は、こういう形は出会ったときではなく、むしろ別れ際に(特にgutenの代わりにschönenにして)使います。詳しいことを話し始めるときりがないので、やめておきますが、とにかく、対格を使うのは、ある動詞の目的語になっているからで、その目的語が省略されているために、対格が単独で使われているのですね。
ラテン語では、どういう動詞が省略されているのか、ということは、残念ながら、寡聞にして知りません。多分、spero(私は希望する)ないし speramus(私たちは希望する)辺りではないかと思います。
挨拶というのは、何が省略されているのか分からないことが、よくありますよね。「今日は」というのも、いったいその後に何が省略されているのか、と訊かれると、困るところがあります。
「お日柄もよく」でしょうか?
第13回 まとめ
- bonum diem (おはようございます、こんにちは)
- bonum vesperum (こんばんは)
- bonam noctem (おやすみなさい)
それではまた次回。 VALETE!